【完】霞む夏空と光
16歳
「相ー、準備まだ?」
階下から聞こえる、お母さんの声。非常にはっきり聞き取れる辺り、かなり大きな声。
全く、急ぎたいのは分かったけれど、騒々しいのは勘弁して欲しい。
「もーできたよ…」
呆れた声で返した私の声は、逆にちゃんと聞こえたのかどうか。
不安になってもう一度言おうと口を開いたところで、部屋のドアが開く。
「相、何浮かない顔してんだよ」
見慣れた幼馴染の顔は、喜びを絵に描いたような、正にその様な感じで、私の苛々は一層募る。
「当然でしょ…花火大会なんて」
「いやそれ、相おかしいって」
いきなり人の部屋に入っておきならがら、その部屋の主をおかしい呼ばわりするこの男は、一体何なのか。
極端でなく、一瞬絞めてやろうかと思ってしまう。
「……啓助がおかしいんじゃない?というか、この世界のほとんどの人が」
何故皆して、そんなに花火が好きなんだろう。
星が見えなくなる花火大会の日は、大嫌い。
階下から聞こえる、お母さんの声。非常にはっきり聞き取れる辺り、かなり大きな声。
全く、急ぎたいのは分かったけれど、騒々しいのは勘弁して欲しい。
「もーできたよ…」
呆れた声で返した私の声は、逆にちゃんと聞こえたのかどうか。
不安になってもう一度言おうと口を開いたところで、部屋のドアが開く。
「相、何浮かない顔してんだよ」
見慣れた幼馴染の顔は、喜びを絵に描いたような、正にその様な感じで、私の苛々は一層募る。
「当然でしょ…花火大会なんて」
「いやそれ、相おかしいって」
いきなり人の部屋に入っておきならがら、その部屋の主をおかしい呼ばわりするこの男は、一体何なのか。
極端でなく、一瞬絞めてやろうかと思ってしまう。
「……啓助がおかしいんじゃない?というか、この世界のほとんどの人が」
何故皆して、そんなに花火が好きなんだろう。
星が見えなくなる花火大会の日は、大嫌い。