【完】霞む夏空と光
 必死の祈りは、何というかある意味無駄だった。一番の災難が、楽しそうにやってきた。



「啓助!?」



 わさわさと草むらを掻き分けて出てきたのは、啓助。私を探してきたのだろうけど、何故あえてそこから出てきたのかは謎である。



「ったく、相はいっつもこうだよな…」



 去年も、一昨年も、その前も。とりあえず皆と逸れるのもまた、私の中では恒例行事。



「はは……」



 ただ、一つ言わせて欲しい事があるとすれば、頼むから驚かさないで欲しい。


 寿命が縮んで稀な流星群が見れないなんてことがもしあれば、どうしてくれるのか。化けて出てやろうか。


 もうあたりは暗くなっていて、くっきりと星が見える。



「今何が見える?」


「言いきれない程、沢山。天の川まではっきり!…って、それ」



 言葉が止まった。もう、何をどういえばいいのか、見失ってしまっている。


 目にしたもの、それは。



「花火。見たまんまだろ」


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