ちよこれいと!


はぁー…
こーゆーのめんどくさい。


どうせ、転校するのはうちだって分かっても誰も涙なんか流してはくれない。

逆にうれしいって思うでしょ。
先生だって問題児がいなくなって、せいせいすると思う。



なのに、クラスの様子はガラリと変わった。


「転校するのは、谷だ。今日で終わりだが今までありがとうな、谷。」


そう言う先生の声は、やさしくてまたその笑顔も優しかった。

「な…」

そんな先生に声がでなくなる。
うち今までさんざん悪いことやって、たくさん迷惑かけてきたのに。
何でそんなに、やさしくて切ないような顔をしているの?



「谷!?なんでっ」

「谷さん、転校しちゃうの?」

クラスがさらにざわつく。
今は、騒いでるけど心のなかでは絶対喜んでるんだ。
内心そう思って教室を見渡した。


「えっ……?」

目に写った光景…
それは、泣いている子たちだった。


「わ、わたしっ!谷さんにお礼言わなきゃ。ありがとう。」


泣きながらこちらに向かって言ってくる子に、びっくりした。
正直、名前も覚えてはいない。

なのに、何でそんな泣いてるの?
やめてよ。

う、うち……


うちっ!


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