七つの星の落し物
次の瞬間、リゲルは大きな丘の真ん中に立っていた。

あたり一面、ポピーのようなひらひらとした花が咲き乱れ、風に吹かれて優しい香りを漂わせている。


(いい匂いだ・・・)

リゲルは思わず鼻からいっぱいに息を吸う。

(ママがいたら、きっとすごく喜ぶだろうな・・・)

胸の奥がちくんと痛む。

(それより・・・、早く無くなったモノを探さなくちゃ!)


丘の下の方に小さな家らしいものが建っている。

(誰かいるかな・・・)

リゲルはさくさくと花畑の中を下っていく。

(・・・。 変だな・・・。)

リゲルは首を傾げながら歩く。

(生き物らしいモノが見当たらない・・・。)

さっきから随分歩いているのに、人はもちろん、鳥や動物、虫の姿さえ見えない。


リゲルは、花畑のはずれの小さな赤い屋根の家にたどり着いた。
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