【COLORS②】スイカに恋したい
次の日。
舞台用の衣装とメイクをするとそれらしく見えるのが不思議だ。
海なんて、そこら辺にいる女子よりも綺麗だったりする。
私は相変わらず……ってな感じでこの衣装がさまになってる感じが、少々腹立たしい。
「もうすぐ出番だね」
「う、あ、うん……」
私としたことが、緊張しているらしい。
「もしかして上がってる?こういう時は手のひらに『人』って三回かいて飲み込むといいんだよ」
誰が言い出したのか、気休め程度のおまじない。
「そんな……子供騙しみたいこと私がするわけ──」
海は私の左手を強引につかむと、その手のひらに『人』の文字を三回書いた。
「ほら、飲んで!」
ゴクリ……
「もう大丈夫」
彼の言葉を拒否する間もなく私は左手の『人』文字を飲んでいた。
さっきまでの緊張感から、ちょっとだけホッとしているのは、このおまじないのせいなのか、それとも……