短編■ 偉大に冒涜
彼女たちは“主役が花嫁さん”ということを、
ちっとも分かっていやしないのだ。
本来は花嫁の芳江を引き立てる為に、いくらか控えめな装いにするべきところを、
記念写真があるからと、張り切ってオシャレをしてきているのだ。
つまり、花嫁の芳江を押しのけて目立っているのだ。
芳江は主役のはずが、脇役に過ぎない。
《なんて厚かましいの?!》
“自分が一番可愛く”と派手に着飾り、
花嫁を差し置いて自己主張をしているのだ。
つまりそれは、
――花嫁さんとなる姉への“演出”に気を遣っていない証拠。
妹として静江は酷く悲しくなった。
姉はせっかくの“世界で一番可愛い花嫁さんの日”を、めちゃくちゃにされたのだ。