SMOKE&CANDY《短》
XXX
くそ暑い。
沢山の木や草が手入れもされないまま、自由に成長してしまった小さな寂れた公園。
地面が土だからアスファルトの上より少しは涼しいはずなんだけど。
それでもやっぱり、くそ暑い。
私は腐りかけた木のベンチに座りながら紫煙を吐きだして、木の隙間から見えるアスファルトの道路から立ち上る陽炎を睨み付ける。
もちろん、陽炎を睨んだところでこの暑さがマシになるわけじゃないんだけど。
そうでもしなきゃ、私は間違いなく理性を失ってしまうだろう。
「頼夢(ライム)」
苛立ちに任せて携帯灰皿に煙草を押し付けたとき、女にしては低く、男にしては高い。
その声に名前を呼ばれた。