SMOKE&CANDY《短》
右手を絶妙な力加減で撫でる來貴。
その冷たさとくすぐったいような感覚が、やけに気持ち良い。
だけど、ふと思う。
なぜこんな事をされているのかと。
その疑問を解消しようと顔を上げたとき。
唇に、なにかが触れた。
それと同時に撫でられていた右手は拘束するようにベンチに押さえ付けられて、腰に何かが触れる。
それが來貴の右手だと気付いたのと同時に。
今、私の唇に触れているものが來貴の唇なのだとやっと気が付いた。
それを意識した瞬間、熱が一気に上昇して力が抜けていた身体に力が入る。
逃げろ。
そう私の脳が私の身体に命令を出し、それを実行しようとしたとき。
ほんの数秒差で來貴の舌が私の唇をこじ開けて侵入してきた。