SMOKE&CANDY《短》

「……んっ」


初めての感覚と熱と甘さに。

思わず吐息が漏れる。

だけど來貴は舌の動きを止めてはくれなくて、むしろ激しくなっていく。


それに比例して、甘くなっていく口内。

甘いものは大嫌いなはずなのに。

その感覚はなぜか不快にならなくて。

甘さだけではなくその動きも熱も。

全く不快になんてならなくて。


その意味を考えていると私の身体から突然、力が抜けた。

その感覚に驚いている間もなく、來貴は見計らっていたかのようなタイミングで、激しく動かしていた舌をゆっくりと動かしていく。


それは先程までとは違う優しいもので。

なぜだかそれが物足りなく感じた私は。

自分から。

來貴の舌を求めてしまった。


……もう、知らない。

夏の暑さが全て悪いんだ。


そう責任転嫁をした私は、ただその舌に。

翻弄され続けた。
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