SMOKE&CANDY《短》

脳と身体に酸素が行き渡り、吹き出していた汗も幾分かましになり。

拘束されていた右手が解放された頃。

「來貴! あんた何考えてんのよ!?」

私は隣に座る変態男を怒鳴り散らした。


考えれば考えるほど、私があんなことをされる理由はなくて。

しかも唇だけならまだしも、遠慮も了承もなく人の身体を触って。

冗談にしてもその限度を超えている。


「別に。したかったからしただけ。頼夢だって気持ち良さそうにしてたじゃん」

怒り狂う私に対して來貴は飄々と、新しい飴を口に入れて転がした。

その姿に思わず右手で拳を作ってしまう。

けれど、その拳を來貴に向けられないのは來貴の言葉に“事実”があるからで。

私はしばらく右手の拳を震わせながら、飴を楽しげに転がす來貴を睨み続けた。
< 15 / 24 >

この作品をシェア

pagetop