SMOKE&CANDY《短》
私の言葉なんて気にせず、自信満々にそう言い切った來貴。
その表情と、私の顔の前に突き出された三本の指がすごく目障りで。
思い切り叩き落としてやると、來貴はなぜかクスクスと笑い出した。
……こいつ、マゾヒストだっけ?
どちらかと言えばサディストな男だと思ってたのに。
大嫌いなクスクス笑いに苛つきながらも首を傾げていると、視界がグラリと揺れる。
やばい。……マジで倒れそう。
どうやら夏の暑さにプラスして、カバンの重みが私の体力を奪っているらしい。
これはタラタラと歩いている場合じゃない。
一分でも一秒でも早く、家に帰ろう。
「なあ、頼夢」
と、半歩前を歩く來貴を追い抜こうとしたとき、また名前を呼ばれた。