SMOKE&CANDY《短》

返事をするのも億劫で、視線だけを腐りかけたベンチを共用している相手に向ける。


フワフワにセットされた明るい茶色の髪に、抜けるように白い肌。

大きな瞳に、悪戯な口元。

そして下品にならないギリギリのラインで着崩された制服。


いつ見ても完璧なその姿に、自分の魅力をよくわかっている男だと感心していると、突然、私の前に手が差し出される。


「飴、いる?」

そうニッコリと笑う男の手の平に転がっていたのは、こいつが常備している飴玉で。

なにも知らない人が見ればこの行動はただの善意に見えるのだろうけれど。

この行動と笑顔には、たっぷりと悪意が詰まっている事を私は知っていた。


「來貴(ライキ)。調子に乗ってたらぶん殴るから」


この男……來貴を横目で軽く睨みながら、私は新しい煙草に火をつけた。
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