SMOKE&CANDY《短》
「はあ……」
そんな來貴を見ていると、自然とため息が出てしまう。
それと同時になんだかもう、全部がどうでもよくなってきた。
來貴はこの手を離す気はないみたいだし。
なによりこのくそ暑い中これ以上、バカみたいな話をして体温を上げたくない。
だから、もう。
どうにでもなれ。
全ては……この熱が悪いんだから。
「はい、到着!」
來貴の楽しげな声。
そして鈴の軽やかな音と、ガチャンと鍵が開く音が私の鼓膜を響かせた。
〜完〜