SMOKE&CANDY《短》
その笑い方がカンに障ったけれど、來貴の言いたいことはなんとなく理解出来た。
真っ黒な腰まであるみつあみに、校則通りの制服。何も塗られていない素のままの顔。
それが今の私だ。
そんな真面目で地味な私が煙草を吸う姿は“昼は淑女で夜は娼婦”と同じような感覚を來貴に与えているのだろう。
「案外、わかりやすい男だね」
來貴にはストレートなセックスアピールが有効だ、と学校の女の子達に教えてあげれば喜ぶだろうな。
……私には來貴以外に友達がいないから、それを教えてあげる術はないんだけど。
すっかり根本まで灰になってしまった煙草を灰皿に押し付けながら、私は小さく笑った。