SMOKE&CANDY《短》
だけど……べつにあの子達が気にするような関係ではないんだけどな。
と、新しい煙草を取り出そうとしたとき。
背中にスーッと汗が流れる。
その不愉快な感覚に私は煙草と携帯灰皿をスカートの右ポケットに乱暴に突っ込んだ。
「ねえ、來貴。そろそろ帰ろ。このままじゃ私、間違いなく頭がおかしくなると思うんだよね」
そうだ。私、さっきの煙草吸ったら帰ろうと思ってたんだ。すっかり忘れてた。
背中に風を送るためにセーラー服をバサバサと動かすけれど、その効果はほぼゼロ。
さっさと家に帰ってシャワーを浴びたい。
でもなぜか來貴は立ち上がる様子もなく。
飴もなくなったのか口も動かさず。
ただ、アスファルトから立ち上る陽炎を見つめていた。