小さな殺人鬼
「お兄ちゃんは善の力を持ってるって、弟が言ってた。私が右手足を奪う前。ねぇ、お姉ちゃんも持ってるの?」

美香が近づいてくる。

(神田さん…善の力?弟が…悪の力?)

飛鳥は、近づいてくる美香を見て…奥歯をガチガチ鳴らした。

「ねぇ、お姉ちゃんの名前は何?」

「…飛鳥。日野…飛鳥」

そう言った時、美香が止まった。

「お兄…ちゃん」

飛鳥が振り向くと、そこには零都がいた。

「あ?お前の兄ちゃんじゃねーんだ。兄ちゃんって呼ぶな、気色悪い」

零都が、飛鳥の手を見て微笑んだ。
腕を拾い、飛鳥にくっつける。

仄かな緑色の光が出て、飛鳥の腕がくっついた。

飛鳥がちらりと見ると、零都の後ろには右手足のない男の子。
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