小さな殺人鬼
飛鳥は、美香を真っ直ぐに見つめた。

「やめなさい!」

美香は、飛鳥と母親を重ねていた。

「悪いことをしたら、地獄に行くの!」
『悪いことしちゃダメよ。じゃないと、地獄に行っちゃうのよ』

美香は、力を抜いた。
飛鳥は、床に落ちてむせる。

それから、美香に近づいてギュッと抱きしめた。

「…美香ちゃん。辛かったよね…」

「う、う、うわぁぁぁん…」

美香が、ギュッと飛鳥の背中を掴む。
爪を立てられて、痛みを感じながらも、優しく抱き締める。

「お母さんに会いたいよぉ…お母さんにぃぃ…。うわぁぁぁん」

泣きじゃくる美香を見て、飛鳥は昔を思い出していた。

飛鳥の母親も、死んでしまった。
美香はまだ小さい。
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