小さな殺人鬼
でも、美香が飛鳥を探しに来た時は真っ先に駆けつけて守ってくれた。

意地悪な人。
だけど、優しい人。

「目が笑ってないし、笑い方が棒読みだよ」

零都は、そう言って苦笑いしてから背を向けて中へ入る扉へと向かって行った。

「まぁ、いいよ。いつか絶対、惚れさせてやるから」

零都が、ドアノブに手をかけた。

「何よ、人の話は聞かないで…。自分だけ好きなこと言っちゃって!」

飛鳥が叫んだ。
驚いて、零都が振り返ろうとした。
と、その瞬間。

ギュッ…

飛鳥が、零都を背中から抱き締めた。

「…!」

零都が、飛鳥を少しだけ振り返る。

「…もう、惚れてるわよ。意地悪で、嫌味とかばっかり言って、強引で…。でも、優しい零都に。そんな零都に惚れてる」
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