歪んだお姫様の御伽噺
「じゃあ、行ってくるね」
そういって彼は行ったわ。
私はどうすればこの思いを貴方に分かってもらえるか考えてたの。
声はでない、足は動かない…
これじゃあ貴方になんの気持ちもいえない。
ねえ、私はどうすればいい?
「おーい!」
私を呼んでるみたい。だから、私も手を振り返した。
そして戻ってきたとき、知らない女が傍らにいた。
「この人はね、あの嵐の夜に俺を助けてくれたんだ。」
…は?
貴方を救ったのは私よ!
と必死に叫んだわ。
でも、貴方に聞こえることはないのにね…。
よく見たらその女は私と同じ髪の色をしていて、目の色も同じだった。
ちがうとこは髪をむこうは結んでたってとこね。