歪んだお姫様の御伽噺






馬車で道を走っている途中に紫色と濃いピンクの縞模様の猫が馬車の近くにいた。


珍しく、馬車を走らせていた召し使いが馬車を止まらせると、
猫は歌った。










♪彼女の足は真っ赤か
靴も一緒に真っ赤か
靴に溜まった赤い液体、
その赤が足をそめる







そして召し使いがはっとし、馬車に乗っている彼女の足を見ると…
























真っ赤な液体で濡れていたそうだ。
ガラスのハイヒールの靴も真っ赤に染まっていた。































馬車がサンドリヨンの屋敷に戻って、猫は呟いた。


‘アリス…今頃姉を思い出している頃かな…’







‘まだだ…
まだ早い。
これからパーティーなんだから、
まだ思い出してはいけないよ…シシシシ…’







不気味な笑みを浮かべた猫こそが








そう、













チェシャー・キャット…











チェシャ猫だ。










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