ブルーストーンは永遠に
今日は午後からの練習で、家で昼飯を食べてから登校するようになっていた。
サッカー部の部室がないこの学校で、ぼくたちはほぼ毎日一階の廊下の裏側でユニフォームに着替えていた。
外に出ると、カッカッ、というスパイクの音を立てながら校舎とグラウンドの間にあるコンクリート道を横切っていく。
先輩たちがグラウンドにのさばって、一年は隅っこで、短いボールの蹴り合いをさせられていた。
「何でこんなせまっくるしい所でボール蹴っとかなきゃいけないんだよ。だいたいこんなしょぼい練習やっててうまくなる訳ないっつーの。くそっ、おもしろくねえ」
ゲジゲジ眉の藤田が愚痴っぽく言った。
顔はそのためか、結構おっさんっぽくて三十年後の顔も容易に想像できそうだった。
「まあまあ、夏の大会が終われば三年の先輩方は引退するだろうからそれまでの辛抱だって」
なだめるように良太が言った。良太はおとなしい奴だったけど、サッカーはぼくよりうまい。特にフリーなったときのドリブルは一品で風邪のようにゴール前まで迫ってしまう。
「夏が終わったらほんとに俺達もグラウンドに入れてもらえるのか?」
ぼくがそう言うと、良太は困ったように、「たぶん」と自信なさげな口調で言った。
一年生部員、十五名がけだるそうにやっていると、三年の平下さんがこわばった顔を乗せながら、わきめもふらず走ってきた。
「こらっ、一年!」と走りながらぼくたちにがなり立てた。
「お前らちゃんとやれ! ダラダラとやりやがって。今度ダレてるの見かけたらグラウンドずっと走らせるぞ!」
全員の顔が沈んだ。だけどみんな不満の二字を抱えている。
藤田が一歩踏み出して言った。
「ぼく達はずっとこんな練習ばっかりなんですか?」
驚いたように一年の顔向きが藤田に集まる。
平下さんは舌打ちを入れて、藤田に詰め寄った。
「一年のくせに生意気いいやがって。お前らは黙って元気にボール磨きか、学校の外周を走っとけばいいんだよ」
蹴落とすように言った後に、ぼくたちの視線が絡みついているのに平下さんは気づいた。
サッカー部の部室がないこの学校で、ぼくたちはほぼ毎日一階の廊下の裏側でユニフォームに着替えていた。
外に出ると、カッカッ、というスパイクの音を立てながら校舎とグラウンドの間にあるコンクリート道を横切っていく。
先輩たちがグラウンドにのさばって、一年は隅っこで、短いボールの蹴り合いをさせられていた。
「何でこんなせまっくるしい所でボール蹴っとかなきゃいけないんだよ。だいたいこんなしょぼい練習やっててうまくなる訳ないっつーの。くそっ、おもしろくねえ」
ゲジゲジ眉の藤田が愚痴っぽく言った。
顔はそのためか、結構おっさんっぽくて三十年後の顔も容易に想像できそうだった。
「まあまあ、夏の大会が終われば三年の先輩方は引退するだろうからそれまでの辛抱だって」
なだめるように良太が言った。良太はおとなしい奴だったけど、サッカーはぼくよりうまい。特にフリーなったときのドリブルは一品で風邪のようにゴール前まで迫ってしまう。
「夏が終わったらほんとに俺達もグラウンドに入れてもらえるのか?」
ぼくがそう言うと、良太は困ったように、「たぶん」と自信なさげな口調で言った。
一年生部員、十五名がけだるそうにやっていると、三年の平下さんがこわばった顔を乗せながら、わきめもふらず走ってきた。
「こらっ、一年!」と走りながらぼくたちにがなり立てた。
「お前らちゃんとやれ! ダラダラとやりやがって。今度ダレてるの見かけたらグラウンドずっと走らせるぞ!」
全員の顔が沈んだ。だけどみんな不満の二字を抱えている。
藤田が一歩踏み出して言った。
「ぼく達はずっとこんな練習ばっかりなんですか?」
驚いたように一年の顔向きが藤田に集まる。
平下さんは舌打ちを入れて、藤田に詰め寄った。
「一年のくせに生意気いいやがって。お前らは黙って元気にボール磨きか、学校の外周を走っとけばいいんだよ」
蹴落とすように言った後に、ぼくたちの視線が絡みついているのに平下さんは気づいた。