みぃつけた
始まりの章
―義昭が死んだ。
七月の、初夏の日差しが眩しい夏の朝だった。
うちのクラスの若い女の担任が、涙を流しながら、
「義昭くん、なんで自殺なんてしたの、ねぇ、なんで」
と突然教卓の上に崩れた。
一方の生徒たちは、そのほとんどが言葉を失っていた。一部から啜り泣く声が聞こえた。
「義昭、昨日学校来てたじゃん…」
「…」
その一方で、水野たちは悲しむそぶりなど全く見せず、いつものように、AVの話に華を咲かせていた。
突然、久美が大声を出した。
「ねぇ、みて。テレビにウチの学校、写ってる」
勿論、義昭が、16歳の少年が自殺したから、メディアも大きく取り上げていた。
みんな久美の回りにたかって、ニュースを見た。
義昭の死因は失血死。
ベッドの上で、腹を刃渡り30cmくらいの刺身包丁で切り刻んで、そのまま息絶えたらしい。
血まみれになって死んでいるところを、両親が今朝見つけたが、とっくに手遅れだった。
遺書も見つかっているため、警察は自殺ということで調査を始めている、と。
俺は今起きていることが全く理解できなかった。
義昭が死んだ。
しかも、自らの手で命を…
でも原因はたったひとつであった。
クラスからのいじめ。
義昭は、クラスからいじめをうけていたのだ。