princess~私の宝物~
「・・・待って・・利・・香」
声もちゃんと出なかった。私はしばらくボーっと立っていた。ただ、利香が涙をこらえた理由が知りたかった。
すると他の先生が、
「おい。まだいるのか?早く帰れ」
「あっ・・・・はい」
私は教室に戻ってカバンを持ち家に帰った。利香の机にはカバンも何もなかった。
先に帰っちゃったか・・・。
帰り道、すごく長く感じた。その日は利香の家の前を通らず、わざと遠回りして帰った。
利香が言った言葉、涙ぐむ顔が頭から離れない。あんな利香を見たのは始めてだった。明日からどうしよ、何て話そう・・・・。
その日の夜はよく眠れなかった。