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「驚いたな、もう回復してるよ。全治三週間の筈が…おめでとう、もう退院出来るよ。」
 診察を始めた医者がヨッタの体力に驚き、舌を巻く。

「ありがとうごさいます、先生。」
 ヨッタが頭を下げた。

「た…只、気になる事が一つ、レントゲン撮影の時、君の体に黒い影が映っていたんだ。…小さな子供の様な…まあ、心配は要らないだろうが…」
 医者がしどろもどろで言った。


 そして医者と看護婦が、病室を後にした。


『……』固まるヨッタとごんぞとポゴ。



 ズダダダ、バタン!急に病室の扉が激しく開いた。

「ヨッタ?き…気が付いたか!」
 それは、貴ボンだった。

「貴ボン、来てくれたんだ。」

「ああ、お前が、あのあざらしにやられたって聞いてな。」

「悪かった。俺が付いていながら。」
 咄嗟にごんぞが言った。

『そう言うことか。英雄(ヒーロー)とばれる訳にはいかないからな。』ヨッタは、ごんぞの顔を見て思った。

「そうだせ、おっちゃん。なりはでかいくせに。」
 貴ボンは横目でごんぞを見据える。

「ごんぞのせいじゃ無いよ。あいつ、急に襲ってきたから。」
 ヨッタが頭をさすった。
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