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「ヨッタ先輩!良かった、心配したんですよ。」
 続けて紫織も入室してきた。その目に涙が溢れる。

「紫織ちゃんまで来てくれたんだ。もう大丈夫だから。」
 ヨッタは右手でガッツポーズを作り、紫織に示す。

 紫織の表情が、和らいだ。

「それより、これ見てみろよ。」
 言って貴ボンが、傍らに置いてある新聞をヨッタに渡した。

 ヨッタは新聞を手前にかざし読み出す。

「『大黒パーキングに怪物出現!』…あの事件の事だ!」


 新聞は、ジークレの事件を大々的に取り上げていた。

『あざらしが人を襲う。死者三名、怪我人十八名。更に、臓器密売グループ逮捕。功労者は、金髪の男とアロハシャツの男!』

 また違う欄には『ベイブリッジ、主塔崩落!大黒パーキングの、謎の人物の仕業か!』


「見ろよその、あざらし倒したって奴、…」
 貴ボンが新聞を指差す。

 ヨッタの後ろ姿が、写っていた。誰かが携帯で写したのだろう。『これが、あざらしを倒した“金髪マン!”』


「金髪マン!?か…格好悪!」
 ヨッタが吐き捨てた。

『そう言や、英雄(ヒーロー)の名前、決めて無かったな…』そして思った。

「…ふざけやがって、あれを倒したのは、この俺なのによ。しかもこいつ、俺の“スーパーリーゼント”真似してんだよ!」
 貴ボンの目に、怒りの炎が籠もる!


『そうだよ、お前のかつら?だよ。』ジッと貴ボンの頭を眺める、ヨッタ。
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