???
「よう、元気そうだな。」
 病室の出入口から声がする。

「ジ…ジャス!!」
 ごんぞが叫んだ。ヨッタも視線を向ける。

 それは紛れないジャスだった。額にはゴーグルをかけているが、あの時と違って全身を黒の皮ジャン・皮パン・皮ブーツで武装していた。

「何だ、ジャス。正装して、戦争にでも出掛けるのか?」
 ごんぞが言った。

「まあな。…この状況じゃ変わり無いだろ。…ようヨッタ、準備は万端か。」
 ジャスが右手を上げ、挨拶する。

「俺ならいつでも行けるさ!それよりジャス。暑くないの、この夏空にそんな厚着して…」
 ヨッタが訊ねた。

「まあ、これはヒーローの“正装”だからな。しかも特注品だから、暑くはない。」

「でも、凄い格好いいや。…ねえごんぞ、俺の戦闘服は無いの?」
 ヨッタがごんぞに視線を向ける。

「…ある事はある。着るのか…」
 ごんぞが応えた。

「よし!これで益々、英雄(ヒーロー)らしくなるぞ。」
 ヨッタが興奮気味に言った。



「…だが、急にどうした。奴らの攻撃まで、あと二日あるだろう。」
 ごんぞはジャスを見つめる。


「神経を、研ぎ澄ましてみろ。分かるだろ、少しずつ増幅していくこの憎悪。」
 ジャスの口元が引き締まる。


「ほ…本当だ!これは、あの時の気!」
 ごんぞの顔にも真剣みが籠もる。


「そうだ、躊躇(ちゅうちょ)している余裕はない。…ザイーテンが動き出した。」
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