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 数日後〜ゾロ・ヴェスタ帝国〜

「将軍、また手伝いですか?…そんな事は、私達がやりますのに。」
 若い兵士が言った。

「いいんだ。私達戦士は平和な時代には、只の役立たずだ。これぐらいせんと平和も感じられん。」
 ザイーテンが返した。


 当時、マジェスタの幾つかの国は、敗戦国であるヴェスタ帝国に駐留していた。シャガール星団もその一つで、兵士達は、よく復興の手伝いをしていた。


「おい“ソフィア”、近寄るな。あいつ等は、憎たらしい敵国だぞ。」
 ヴェスタ帝国の若者が言う。


 いつの時代も戦勝国は、戦敗国の怒りを買うのが常(つね)である。


「大丈夫だよ、“ロン”。あの人、やさしそうな笑い方するから。」
 黒髪の美しい少女が、微笑んだ。

 そしてザイーテンの元に近づいた。

「将軍様、お疲れさまです。…皆さん、少し休んでヴェスタ特産のラズベリーパンでもお召し上がり下さい。」
 しっかりした口調で言うソフィア。

 その様子をロン達ヴェスタの民が、物陰に隠れ固唾を飲んで見守る。
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