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「おい!そいつを捕まえろ。」

「捕まえたぞ。貴様!ここをどこだと思ってる。」
 駐屯所の外は騒然としていた。

「どうしたんだ?」
 ザイーテンは外で待機していた部下に訊ねた。

「はっ!ヴェスタの民がこのリザード連合国の駐屯所に忍び込もうとしてまして。」

 ザイーテンが、そのヴェスタ人の元に歩み寄る。

「おい、放してやれ。」
 そしてリザードの兵士に言った。

「これはザイーテン将軍。…ですが、こいつは…」
 リザードの兵士は、ヴェスタ人を足下にして答える。

「その男の身柄は私が預かる。勘弁してやってくれ。」

「…分かりました。」
 リザードの兵士は渋々ヴェスタ人を解放した。

「くそう!あいつら、俺達を何だと思ってる。」
 だがヴェスタ人の怒りは収まらない。

「悪かった。彼等も環境の違う星で気が立ってるんだ…許してくれ。」
 ザイーテンは、方膝をおり頭を下げる。

「あ…あんた、ソフィアと仲の良かった…!聞いてくれ。ソフィアが…」
 男がザイーテンの姿に気付き叫んだ。その男は、ソフィアの仲間ロンだった。

「…一体、どうしたというのだ。」
 ザイーテンは訝しげに訊ねる。

「ソフィアが、あいつらの将軍に捕まったんだ。」

「ソフィア!…あの娘が?」
 ザイーテンが問い質す。

「奴等、ソフィアに夜伽(よとぎ)の相手をしろと言ってきて…俺達は、断固拒否したんだ!しかし、あいつ等…火を点けて…ソフィアをさらっていきやがった!」
 ロンは悔し涙を浮かべる。

「ソフィアが?ここに連れてこられたのか!」
 愕然とするザイーテン。


「…頼む、俺を中に入れさせてくれ!」

 ロンの言葉に、ザイーテンは駐屯所を睨む。

「分かった。私も行こう。」

 そしてロンを伴い、再び駐屯所に向かった。
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