???
「どうした!?」
 慌てて駆け付けるザイーテン。


「ソフィア…」
 ザイーテンの目に、床に横たわるソフィアの姿が飛び込んだ。


 ワナワナと震えながら、ソフィアに手を添えた。

 その体に温もりは無かった。…只冷たい、青白き肌をとどめるのみ…


「うおーっ!」
 ロンの怒りが頂点に達した。衝(つ)かさずバシリスに殴り掛かる。

「くっ!」
 バシリスは、腰から銃を取り出す。

 ドーン!

 乾いた銃声が響いた。

「き…貴様!」
 バシリスが、唸(うな)るような声をあげた。

 銃弾は、ロンには当たらなかった。ザイーテンが右手で叩き落としたのだ。



「何をした…ソフィアに何をした!!」
 ザイーテンが吠えた!
「何って…その女が、勝手に舌を噛み切ったんだ…」
 バシリスが後退る。

「ふざけるな。お前が追い込んだんだろうが!」

「たかだか敗戦国の女だろう!…どのみち、我らマジェスタの隷属国になるんだし…」

「どう言う事だ?議会は未だ評決していない筈。」
 寝耳に水のザイーテン。堪らず問い質す。

「ほぼ、本決まりだろう。どの国も十三評議会の領土は、喉から手が出る程欲しい筈だ。」
 バシリスが笑う。

「ガッ!?」
 だが、次の瞬間その顔色が蒼白になった。ザイーテンがむなぐらを掴んだのだ!
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