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 千秋と会話を続けるヨッタ。ふと将太郎の方を見た。ザーラ星人が将太郎に近付いて来ている。

「あっ、将太郎さん!横にザーラ…」
 咄嗟(とっさ)に叫ぶヨッタ。将太郎の視線がザーラ星人と重なる。

「うわぁ、めんけぇな、おめ。」
 将太郎がしゃがみ、ザーラ星人を見つめた。

「キュー」
 ザーラ星人が喜ぶ。

「こらこら将太郎、そんな“野良あざらし”構うなよ、もう行くぞ。」
 千秋が将太郎を呼ぶ。将太郎が振り返った。

「将太郎さん危ない!」
 ヨッタが叫ぶ。ヨッタにしても貴ボンにしても、襲われたのはザーラ星人から目を離した時だったからだ。

「はぁ、何が危ねえんだヨッダ?まあ、いいげんちょよ。そのうぢ飲みさいぐべな。」
 ヨッタの意に反し、ザーラ星人は何もしてこなかった。


 そして千秋と将太郎は夜の街に溶けていった。


「なんで?」
 ヨッタはザーラ星人を見つめた。ザーラ星人の瞳が微かに光る。そしてそのままヨッタに突進して来た。

「何でー!?」
 ヨッタは逃げ出した。


 ピリピリー!笛の音が街中にこだまする。

 警官隊二人がヨッタの元に駆け付けて来た。

「大丈夫か君、あざらしは私達が排除する。君は隠れていなさい。」
 警官達はザーラ星人を囲んだ。

「今度こそ、ゆるさんぞ!」
 シャキン!警官の一人が特殊警棒を振り伸ばし、間髪入れずに殴りかかる。

「キュー」
 ザーラ星人は素早く避け、サマーソルトキックをおみまいした。

 警官は倒れこみ、制帽が外れた。…かがやいていた。

 ザーラ星人はそのまま、逃げだす。

 倒れた警官が腰から拳銃を取り出した。

「くそーゆるさんぞ!」

「遠藤巡査!やめろ、街中だぞ!」
 もう一人の警官がそれを阻止した。

 国家組織でさえ手に負えない状況だった。
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