???
「“Drシメジ”!このゲームは、不良品でちゅよ!」
 ザーラ星人がコントローラを床に叩きつけた。


 このザーラ星人、実は他のザーラ星人とは訳が違った。

 何が違うと言うと、ザーラ星人独特のあのマジックで描かれた様な目の周りと、後頭部の毛がだ。

 つまり立体感の無いザーラ星人に対しこっちには、完全に後頭部に黒髪が生え、スーパーグラスと言う眼鏡を掛けている事だ。

 更に決定的な違い、それは完全成る進化。つまり言葉を発し、二足歩行する、文明人なのだ。

 …もう一つ補足するなら、首に青い蝶ネクタイをしている事か。


 彼の名は、キャミー。オリジナルのザーラ星人で、大銀河テロ組織トラトラトラの幹部だ。


「キュー」
 キャミーの傍らでザーラ星人が鳴いた。このザーラ星人も、他のとは若干違いがあった。それは、頭の模様が他とは異なり“おかっぱ”模様になっている事だ

「ティプリ、心配ちないでくだちゃい。僕ちゃんDrシメジを怒ったりちまちえんから。」
 キャミーがティプリと呼んだザーラ星人を優しく撫でる。


 厳密に言ってザーラ星人の子孫繁栄方法は、分裂では無い。彼らにも、雄雌(おすめす)があって、地球人と同じく“融合”で子孫繁栄していく。

 だがそれと同時に分裂する事で、“非国家基礎民族”つまり労働、戦闘要員、を作り出していくのだ。

 オリジナル種は二〜三日に一度、分裂する。生まれる殆どが普通のザーラ星人なのだが、極稀(ごくまれ)に超レア種が誕生する。

 そのレア種がティプリだったのだ。
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