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『大丈夫なんだろうな。英雄(ヒーロー)の力』ヨッタは、ごんぞとの会話を思い出していた。




「お前が英雄(ヒーロー)になれば、銃弾も跳ね返す、硬いコンクリートも叩き壊せる。まあ無敵と言う訳じゃ無いがな。あのザーラ星人だって、楽勝だろう。だがその力だってそう長くは続かない。」
 ごんぞが説明する。

「ウル〇ラ●ンも三分しか戦えないもんね。」
 ヨッタが言った、その目は本気(まじ)だ。ごんぞの冷たい視線が飛んだ。

「…そいつは知らんが、英雄(ヒーロー)の力は、いわばニトロの様なものだ。あまり長く使ったり乱発すれば、その後気怠さ(けだるさ)が襲う。ヨッタ自身の体がリミッターを掛けて、英雄(ヒーロー)になれなくなる事もある。使い処を間違えるなよ。」

「英雄(ヒーロー)になっている時間はどれ位なの?やっぱ三分?」
 再び聞くヨッタ。ごんぞは気にも止めない。

「いや、人によってそれぞれ違う。一分の者もいれば、一〜二時間の者もいる。若いヨッタなら、だいたい三十分ぐらいか?」

「三十分位か、分かったよ。気を付けるよ。」

「それと、装備品を渡しておく。」
 ごんぞが懐から、かつらを取り出した。

「これって、さっき俺が被っていた、貴ボンのかつら!これが英雄(ヒーロー)の装備品?」
 ヨッタは拍子が抜けそうになる。

「そ…そうだ…。代々地球の英雄(ヒーロー)達は、“黄金に燃ゆる髪”をしていたそうだ。…伝統だよ、ヨッタ君。それに、お前の好きなウル〇ラ●ンだって正体は明かさないだろ?変装するんだよ。」
 ごんぞが言い切った。額には冷や汗が滲む(にじむ)。

『…ごんぞ、そんなので誤魔化(ごまか)せるの?…ここは僕の出番かな』ポゴが、不安気にごんぞを見つめていた。

「す…凄ぇ!伝統か。そうだな、正体不明の英雄(ヒーロー)!分かったよ。」
 ヨッタがかつらを受け取った。その目が爛々(らんらん)と輝く。

「…お…おう、頑張れよ。」

『なんで?』目が点になるポゴだった。
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