???
「はあはあ、こ…この力は、一体?」
 ヨッタは自分の右手を見つめた。

 モコモコ。ヨッタの襟首が波打つ。

「それが英雄(ヒーロー)の能力だよ。ヨッタ、君はまた一つ英雄(ヒーロー)への階段を昇ったんだよ。」
 ポゴが飛び出し、ヨッタを見つめて言った。

「でも、まだまだ、だね。俺頑張るよ。」
 ヨッタはポゴに伝える。
「俺は、立派な英雄(ヒーロー)になってやる!」
 そして、そう大声で言った。

 ポゴは眩しそうに、その顔を見つめていた。


「ぎゃー!き…きちゃま英雄(ヒーロー)なんでちゅか!トラしゃん…逃げるでしゅよ。」
 キャミーが叫ぶ。が、腰が抜けて立てない。手では、トランクの頭をガンガン叩く。

「さてと、仕上げと行くか。」
 ヨッタはキャミーに向かって歩きだした。

「僕しゃん、やったら大変でしゅよ。」
 震えるキャミー。その周りを数匹のザーラ星人が取り囲んだ。

 しかしヨッタは構わずザーラ星人を押し分けて、キャミーに近付く。

「ちょっとだけ待って、ヨッタ。こいつに聞きたい事が一つ有るんだ。」
 ポゴが言った。

「うん、いいぜ。」
 ヨッタは快諾する。ポゴはキャミーを見た。

「キャミー、お前等の首領の、“デットーリー大佐”はどこにいるんだい?あいつは何をしょうとしているのさ。」

「デットーリー大佐?あっ!トラトラトラのボスの名か。」
 ヨッタが納得する。

「ボ…ボスは、ここには居まちぇん。後で合流する、手筈になってたんでちゅ。ボスが何ちょうとしてちゃのかも、分かりまちぇん。『お前等は、一足先に地球に行って、遊んでこい。』っちえ、言われちゃだけでちゅ。」
 キャミーがドキドキしながら答えた。

「本当かい?」

「本当でちゅよ、ちんじてくだちゃい。」
 キャミーは泣きながら答える。

「そう、信じるよ。ヨッタもう良いよ、やっちゃつて。」
 ポゴがさらりと言った。
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