???
「そろそろ帰るか。くっきー行くぞ。」

「ワンワンワン!」
 突然くっきーが、草むらに向かって興奮した様に吠え始める。何かに対し威嚇(いかく)しているようでもあった

「おい、どうした?帰るんだぞ。」

「ワンワンワン…ガルルル…」

 “ガサガサ”その時、草むらがなびいた

「何か居るのか?まさか熊とか…」
 ヨッタは、近くに落ちていた小枝を拾うと、恐る恐るその草むらをつっついた。

「キュ〜」
 何かに当る感触と共に、奇妙な鳴き声が上がった

「な…何だ!?」

 ガサガサ…

 ガサガサガサ!

 現れたのは、奇妙な生きものだった。乳白色の体に大きなヒレ。あざらしだ!

 だが、少しばかり妙だった。

 それは、両目の周りの眼鏡を掛けた様な模様と、後頭部だけ黒い毛並み、まるで…

「ぎゃははは…何だこいつ、ハ…ハゲ親父じゃねーか」
 まさにそれであった

 ヨッタは、腹を抱えながらも、じっと見つめなおした

「こいつって、貴ボンの言ってた奴かな、本当新種発見だよ。おい!お前、貴ボンの所から逃げてきたのか?」

 貴ボンの住むアパートは、ここから数百メートル程離れた所にあった。
 あざらしは、そこから逃げ出したと思われた。

 ヨッタは、あざらしの前でスッとしゃがんだ

「なぁ、お前貴ボンの所から逃げてきたのか?あいつひどい奴だからな、いじめられたのか?」
 言って、ヨッタはある事に気付き、あざらしの顔を触った
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