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「ヨッタ。ヨッタ!起きてよ。」
 京子がヨッタを揺さぶり起こそうとする。しかしヨッタは起きる気配は無かった。

「おい、ヨッタ起きろよ。何だ疲れがたまってるのか。」
 貴ボンが軽くヨッタを揺さぶった。

「どうしよう、私連れて帰ろうか?」
 京子が言う。

「だ…駄目だ!ヨッタは…そうだな…紫織、お前が責任持って家に送り届けろ!俺は京子を送るから。」
 貴ボンが言った。

「でもヨッタの家に一番近いの、貴ボンじゃない?」
 京子が不安げに言う。

「俺は…お前と同じ、買い出し係だからよ…」
 しどろもどろで貴ボンが言った。

「…ふうーん。分かったわ。紫織ちゃん、ヨッタお願いね。」
 京子が紫織に笑いかけた。

「はいっ!」
 紫織がそれに応えた。



 店の外、ヨッタと紫織を乗せたタクシーは、街中に消えて行った。

 店の前には、貴ボンのケンメリが停まっていた。

「それじゃあ、送っていくよ、京子姫。」
 貴ボンがまるで騎士(ナイト)の様に優しく京子に声を掛ける。

「…分かってるよね、貴ボン。私のアパート、ここから数分の距離。歩いた方が早いでしょ。賞品の方は任せたから、明日必ず持ってきてよ。」
 京子が言った。

「だ…だったな。送る必要無いな。…じゃあ、また明日。」

 貴ボンの野望はまたしても砕け散った。
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