???
「あのお二人が、新人さんですか。」
 紫織が乱宮達を眺め、言った。

「ああ、奴らが例の二人だ。鈍平さん、何であんな奴等に。」
 貴ボンは肉をがっつき、悔しそうにもらす。

「一癖ありそうな方々ですね。」

「それより、昨日あの後、どうなったんだ?や…犯ったのか?」
 貴ボンが紫織の目を見つめる。

「まっ!そんな事…私気絶してしまって…気が付いたら、執事の榊原がヨッタ先輩を自宅に送った後でしたわ。」
 紫織は恥ずかしそうに俯く(うつむく)。

「そうか、お互い作戦失敗だな。」
 貴ボンが遠くを眺めた。

「た…貴ボン先輩。聞いてくれます?実は、ヨッタ先輩の“あれ”凄く大きかったんです。二十センチぐらい…しかも…顔、みたいな模様が…」
 紫織の顔が紅潮(こうちょう)する。

「み…見たのか!ヨッタの“もの”?…に…二十センチ!競争馬か?しかも、入れ墨だと!…恐るべし、ヨッタ!!」
 貴ボンはグッと唇を噛んだ。




 バシャバシャザバーッ!既に闇夜に包まれた大黒ふ頭に、それは上陸した。

「ア…アバレル!」
 そして一際輝く大黒パーキングを目指す。


 パーキングでは大勢の若者がたむろしていた

 ビッククルーザーに乗せられた大型ウーハーより大音量の音楽が流れる。

「ツイタ」

 それがパーキングの片隅に現われた。パーキング沿いに並んだ街灯に照らされ、刻銘(こくめい)に浮かび上がるその姿。ジークレだった。

「あん?何だあれ。…“消えたあざらし”じゃねーの。」

「ちぃと、でけえが、みたいだな。どうよ、俺らぁで“狩っちゃう?”どっかの馬鹿がこのあざらし、“一億”で探してんらしいよ。」

「やるか?おう皆!武器(エモノ)持ってこい!あいつ囲んでボコっちまえ!」

「おう!!」

 ジークレの姿を確認し、地元の荒くれ者共“チーム本牧オデッサ”が、狂気のおたけびをあげる。



 狂気の宴が幕を開けた!
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