???
「キュー」
 あざらしは嬉しそうに鳴く

「お前、かわいいな。ちょっと待ってろよ。」
 熱心にあざらしの顔を触るヨッタ。やがてその手を止めた

「驚いた!貴ボンのいたずらかと思ったけど、本当の模様なんだ。ん?」
 驚きの声を上げる。同時に何かに気付く。あざらしが何か握って?いるのだ

「え?あざらしって、手?使えるんだっけ…お前、ちょっとそれ貸してみろ。」
 不思議に思いながらも、ヨッタはそれを奪い取ろうとする

「え?」
 簡単だと思われたその行為だが、あざらしはグッと握って離さない。ヨッタは、更に力を籠め(こめ)て、やっと奪い取った

「何だよ、すげー力だな。あざらしって結構力あんだな。」
 感心しつつ、ヨッタは奪い取ったそれを確認する。

 財布だった。中には、現金1025円とレンタルビデオの会員証、コンビニのレシート、コンドーム…、そして運転免許証。

 それに写った写真には、見覚えがあった
「貴ボン!」

 免許証に目を奪われるヨッタ

「ワンワンワン…ガルルル!」
 再び威嚇し始めるくっきー

「どうしたんだよ、くっきー。」
 ヨッタは、後ろを振り返りくっきーを見る。

 くっきーは、一点を見据え(みすえ)吠え続けている。その視線の先には、例のあざらしが居た

「ほら、ただのあざらしだよ。」
 言ってヨッタは、あざらしの方に視線を戻した。
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