???
 非常灯の微かに灯る工場内。乱宮と木網と鈍平の姿があった。

「なんだ?これは。」
 乱宮が木網から受け取ったそれを手前にかざし眺める。

「“ぼろい車”の中に、入ってたです。」
 木網が答えた。

「何かのたしにはなるか。」

「お金です!」
 木網がピョンピョン跳ね飛ぶ。

「君達、余り無茶せんでくれ。私の立場もあるのだから。ヒー」
 鈍平が堪らず言った。

「てめえのせいだろうが!家のあちこち、穴開けて。」
 乱宮が叫んだ。

「そうでしゅよ。行くですよ!」
 木網がくるくる舞い踊る。

「だが、あれは君等がこんな体にしたから…ヒー」
 納得出来ず、鈍平が反論する。

「はぁ?何か文句あるか?」
 乱宮がすごんだ。

「!な…何でも無いです。ヒー」

「でしゅよねー。」

 こうして三人は工場内を奥へと進んで行った。



 ブルルルル。ヨッタの携帯が小刻みに震える。

「はい。ヨッタだよ。」
 ヨッタはそれを耳にあてがった。

『ヨッタか!』
 受話器の向こうから声がする。

「その声は、ごんぞ。」

 相手はごんぞだった。

『ザーラ星人が現われた。しかもレア種のようだ。今、お前の会社の前まで来てるんだ。送って行くから出て来い。』

「レア種?分かったよ。ちょっと待ってて。くっきー頼んで、そっち行くから。で、場所はどこ?」

『首都高湾岸線“大黒パーキング”だ。』
< 81 / 218 >

この作品をシェア

pagetop