???
「京子!探したんだけど、貴ボン居ないみたいだぞ。」
 ヨッタが再び京子に近づいて言った。

「もう、貴ボンったら。」
 京子はがっくりと肩を落とす。

「それとさ、悪いんだけど、くっきーあずかってもらえないかな?俺、急用が出来ちゃって。」
 ヨッタが頼んだ。くっきーはしっぽを振って京子を見つめる。

「もう、この忙しい時に…まあ良いか。おいでくっきー。」

「ワンワン!」
 くっきーは嬉しそうに、京子の足元に顔をすり寄せた。

「くすぐったいよ。くっきー!」
 堪らず(たまらず)京子が声を上げる。

『良かった。京子、笑顔に戻って。』ヨッタは、ほっと胸を撫で下ろした。

「じゃあ、頼んだぞ。」
 そして工場の外に向かって走り出した。
< 82 / 218 >

この作品をシェア

pagetop