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「何やってやがる。ヨッタの奴。」
 何出弥製作所の入り口には、ハイラックスが停められていた。ごんぞが傍らで煙草を吹かしている。

 そのごんぞの眼前に一人の男の姿が現われた。

 七三頭の男。貴ボンだった。

「おい、そこの“はげ”!“ヨッタ”っていう奴、知らねぇか?」
 ごんぞが訊ねる。

 貴ボンのこめかみがピクリと波打った。

「ヴア?何言ってんだ!われぇ。誰がはげだと?」
 そしてくるりと向きを変え、ごんぞを睨む。

「お前だよ。どこからどう見たって、お前しか居ねぇだろうが。」
 ごんぞが空に向かって、煙草の煙を吐いた。

「俺の頭が…はげだと?!じゃあ何か?この髪は、ヅラだってのか!おう、答えろや!」
 貴ボンは、たぎる怒りをぶつける!

「あん?どっかで見た顔(ツラ)だなあ。お前、名前は?」

「貴ボンだ!」
 貴ボンが威風堂々(いふうどうどう)と答えた。

「…ヨッタといい、こいつといい、馬鹿ばっかりだな、この街は。」
 貴ボンの返答に呆れ(あきれ)て、天を仰ぐごんぞ。

「…オヴ、おっちゃん。どうやら、死にてぇらしいな!そこまで言うなら、殺っちやるわ!」
 貴ボンの怒天が最高頂に達した。

「悪い、そんな怒んなよ。ただ聞いてるだけだろうが。このヅラ野郎。」
 言ってごんぞは煙草を放り、足で揉み(もみ)消す。

「われ!もうあかんど、われのその“ヘタ頭”、ボコボコにしたるわ!」
 一度点いた貴ボンの怒りは、治まらない。


 二匹の獣の闘気が、激しく牙を向き合った!!
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