愛してると言いたくて
右手に小さな花束を持って立っていた。
「よっ」
「…こんにちわ」
すると
右手にあった花束を差し出してきた。
「これ、お見舞い品な。どっかに飾ろうか」
「ありがと」
そういうと、
病室にあった花瓶に
花を生けてくれた。
そういえば……
「あのさ」
「なに?」
「名前、何?」
「あ……言ってなかったっけ。俺は、赤沢翔太」
「あかざわ…しょうたくん」
「そう。あんたは、確か…病室に書いてあった…」
「坂本茜」
「あかね…か。いい名前だよ」
ドクンっ…
「そうかな…?初めて言われたよ」
「まじかあ!俺が初か」
それからは他愛もない会話。
<面会終了時間となりました。面会の皆様はお帰りください〜>
病院のアナウンス。
もうこんな時間……。
こんな話が絶えない人、初めて……。
「じゃ、俺帰るわ」
「うん、ありがとう」
「またな!」
そういうと
病室をでて行った。