ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
【kie※side】



『俺、鮎沢先輩のことが好きです』



昨日からこの台詞が、あたしの頭の中を支配する。



ワンを家まで送っている途中、安藤はあたしにそう告げた。



冗談には聞こえなくて、ふざけてるふうでもなくて。



「はぁー…」

「うわ、でっかいため息」



気づけば麗奈が、あたしの顔を覗き込んでいた。



「ワンは今日休み?」

「うん、休み」



安藤にあんなこと言われてからじゃ、正直会いづらい。



昨日は驚きのあまり、返事もなにもできなかった。



だからまず、安藤にちゃんと言うべきだ。



あたしには、ワンだけで十分だから。



ワン以上はいないから。



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