ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
また誘われた合コンにでも顔だすか?
なんか俺って虚しいよな、いつも。(←そういう役所)
なんでマコにあんな美人の彼女がいて、俺はフリーなんだよ。
「ワンと鮎沢ちゃんさ、今年もクリスマスは一緒に過ごすんでしょ?」
そういった類いの話題を持ち出すのは、決まって麗奈だ。
「え」
「ウン!」
「ウンってワン、そんなの初めて聞いたんだけど」
「だって、過ごすだろ?」
マコがああやって顔をのぞき込むと、決まって鮎沢ちゃんは顔を赤くする。
その顔が、いつしか俺の脳裏に焼き付いて離れなくなった。
マコに向けられた、マコにしか見せないその顔が。
「いいよねー、カップルは」
「ワン、サンタはもういないんだぞ?」
「知ってるよ!」
「純平はどーすんの?」
麗奈は、俺に湯気の出るたい焼きを差し出しながら尋ねる。
「俺はバイトだな」
「クリスマスまでか」
「稼ぎ時だからな」
「喫茶店が?」
「寒いとコーヒー欲しくなんだろ?」
ま、バイトでもしてる方がいいだろうな。