ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
それは多分、稀衣ちゃんにしか分からない寂しいことや、辛いこと。
そういうのを無意識に、頭に思い出してるんじゃないのかと思う。
「オレが教える!楽しいことも、思い出の作り方も!」
だから笑って。
少しでも楽しいって思ってほしい。
寂しいことなんか、思い出す暇ないくらい。
「…よろしくね、ワン先生?」
稀衣ちゃんはクスリと笑った。
わ、ワン先生…!
き、稀衣ちゃんがもし生徒だったらオレ、手を出さない自信ないなぁ。(←要らぬ心配)
スリル満点のキンダンってゆーのも、ちょっと憧れるよな。(←妄想)
「あ、バカップルじゃん」
あれ、この声…?
「あー!郁也じゃん!」
「偶然。お前らも合宿?」
「郁也も?」
「そ、毎年恒例だからな」
毎年だなんて、ずっりー。
オレ達は、2年生の時のこの1度だけだというのに。