ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
「なによっ、そうやって正義感振り撒いて…!」
愛実ちゃんは、茜を睨み付けた。
「本当は、自分じゃなくて良かったって、そう思ってんでしょ?!わざとらしいのよ!」
「はぁ?!アンタ、自分がどういう立場か分かってんの?!」
「だからそれは、さっき謝ったでしょ?!」
「それが反省した奴のとる態度かよ?!」
2人は、今にも取っ組み合いになりそうな勢いだ。
女通しのケンカだけど、迫力は満点だった。
「おい、2人とも落ち着けって」
「茜、落ち着いて!」
佐倉と麗奈が、仲裁に入る。
「だってさ!こんだけの騒ぎを起こしておいて、あの態度だよ?!」
「自分にも少しは非があるのに、あたしでカモフラージュしたいんでしょ?あたしが全部悪いんだって、自分は何一つ悪くないって、そう言いたいんでしょ?」
愛実ちゃんは、茜に怒りをぶつけた。
「…愛実、いい加減にしろよ」
そこに、今まで黙っていた郁也が静かに口を開いた。
低い声が響いた。
その場にいた全員が凍りつくような、そんな空気へと一変した。