ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
「茜はなにも悪くないだろ。お前が嘘なんかつかなければ、なにも起こりはしなかった。違うかよ?」
郁也のこんな顔は、初めて見た。
長い付き合いだけど、こんなにも怒って感情を出している郁也は、今まで見たことがない。
「郁也まで、その子の味方すんの…?!」
愛実ちゃんは唇を噛み締めて、大粒の涙をこぼし始めた。
今度のは、本物…?
「あーもう、泣くなよ」
郁也は大きく息を吐き出した。
「稀衣、ワン君、愛実のせいで本当ゴメンな。コイツ、部屋まで送ってくるから」
そしてあたし達にそう告げると、愛実ちゃんの手を引いて歩き出す。
「なんだかんだで郁也って、優しいよな」
「郁也は悪くないのにねぇ」
「とりあえず、バカップルが無事だったんだし、よしとしようか!」
「誰がバカップルだ(恥)」
「穴の中2人で、何やってたんだか?」
「助けを待ってた以外に、なんにもないわ!」
「えー?!稀衣ちゃん、あんなに…んぐっ?!」
「いーから!お願いだから、少し黙って!」
「ったく、バカップルはどこまでもバカップルだな。そりゃ雪も溶けるわ」
「…茜、大丈夫か?」
「うん、大丈夫。だけど、なんかムカムカすんだよな。なんだろ、これ。胃もたれ?」