ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
茜は自分の胸の辺りをなでながら、顔をしかめていた。
ヤキモチでも妬いてるのかな。
だとしたら、少しは成長したよね。
「なに茜、更年期?」
「だれが更年期だ!!」
「イライラの他に、頭痛やめまいなどはありませんか?」
「だから違う(怒)」
あーあ、麗奈がまたからかってる。
茜の恋愛偏差値が上がらないのは、周囲の人間も大きく関係してると思う。
こりゃ郁也も大変だね。
「稀衣ちゃん、大丈夫?」
ワンがあたしの顔をのぞき込む。
『いつならいーんだよ?』
さっきの穴の中での会話を思い出して、あたしはワンから目をそらした。
「あ…平気」
正直言うと、未だに慣れていない。
ワンが、“男の人”になることが。
怖いんじゃなくて。
ただ、慣れない。