ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
「充電、切れてる…」
あたしがキレそうだよ…(←冗談に聞こえない)
落胆していたあたしに、周りの雑踏に紛れて微かに届いた声。
「稀衣ちゃん!」
それはドンドン確かなものへとなり、人込みから肩を大きく揺らしたワンが現れた。
あまりにも驚き過ぎて、声も出なかった。
「よかったっ…携帯繋がんないから…誘拐されたのかと、思っ…」
“―――ギュッ”
「き、稀衣ちゃん…?」
赤くなってる鼻に荒れた呼吸を整えながら、途切れ途切れに話すワン。
言葉のかわりにギュッと抱き着いた。
身長なんて3cmしか変わんないくせに、ちゃんと受け止めちゃうんだよね。