ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~



「探してた、ワンを」



ワンから離れてそう言ったら、ワンは少し俯きがちに申し訳なさそうな顔をした。



「…うん、ゴメン。オレも探した。さっきの事、謝りたくて」



あたしはもう、気にしてはいなかった。



それよりも、一緒にいたい気持ちが勝ったんだから、仕方ないでしょ。



「オレ、スーパーで稀衣ちゃん見かけて…稀衣ちゃんが可愛い顔して話してんの見たら、悔しくなった」



スーパー…ってことは、郁也といたところ見られてたんだ。



話しに夢中で、全然気が付かなかった。



「…ゴメン、なさい」



シュンとなって、耳とシッポが下がってる。



やっぱりワンは、こうでないとワンじゃない。



今日のワンは“ワン”ではなく、一(まこと)だったんだ。



(※ワンの本名、横井一)



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