僕等は、それを恋と呼んだ。




「い、依知菜苦し…」

「依知菜、詩乃佳が…」

「だって亜紀!やっとだよ!?やっと詩乃佳の恋が実ったんだよ!?
ずっと辛そうな詩乃佳を見守ってたあたしとしては自分のことの様に嬉しくて……うっ」

「そう…だよね。本当に詩乃佳頑張ったよね…うっ」


笑顔だった亜紀まで依知菜に吊られて、泣いてあたしを抱きしめる。



うう。苦しい。


でもあたしまで吊られて涙が……。



「あっ、ありがと…二人共。
な、なんか…ウソみたいだよ…」


二人に負けないくらい、二人をぎゅうぎゅうと抱きしめ返してあたしは言う。




何だろう。



今更だけど二人に喜んでもらって、実感が湧いてくる。



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